放映権が重要なスポーツビジネス

タブレットでサッカー

近年のスポーツビジネスでは、スポンサーとの契約料や放映権料収入がとても大切になっています。というのもスタジアムが満席な状態が続く欧米のスポーツチームにおいては、入場料収入を伸ばすためには、チケット代金の値上げを実施するしか方法がないからです。ですがチケット代金の値上げはコアなファンからは評判が悪く、チームの人気に直接影響があるので、簡単に値上げをすることは難しい状況にあります。

そのような現状から欧米のスポーツビジネスでは、放映権料に注目が集まっています。実際スポーツのマーケットをチェックしてみると、短い期間で契約料が大幅に伸びていて、イングランドのプレミアリーグに至っては、3年で1兆3000億円もの契約料になっています。なぜこのような莫大な放映権契約が結ばれるかというと、ある種の投資の側面があります。プレミアリーグでは大型の契約によって資金的に余裕ができて、世界的な選手を多く獲得しています。そうすると世界中のサッカーファンから人気となり、リーグ自体が発展します。そうすればイングランド国内においても今まで以上に注目されるようになり、ペイテレビの契約数も増加するというサイクルに入ります。

結果的にそれらのサイクルが成功しているヨーロッパでは、次々に大型契約が結ばれています。

年々拡大しているスポーツ中継

プレーを見る

FIFAワールドカップやオリンピックなどといった巨大なスポーツイベントを成功させるにあたって、放送局の力は非常に重要です。一般的に、放送局がスポーツイベントの模様を中継するためには金銭を支払って主催者から放映権を手に入れなければなりませんが、このスポーツ中継ビジネスのマーケットは年々拡大しています。

例えば、FIFAワールドカップの放映権料の総額は当初は緩やかに上昇しており、1998年のフランス大会までは1億ドルを少し上回る程度でしたが、大会後に放映権取引の方法が入札方式に変更された結果、2002年の日韓大会では約10億ドルと前回の大会の10倍に膨れ上がりました。その後も総額は増加を続け、2010年の南アフリカ大会では約27億ドルにまで増えました。

中継ビジネスのマーケットが膨れるに伴って生じるのは放送局が出資する費用の高騰で、あまりにも高くなると1つの放送局が単体で必要な資金を賄いきれなくなります。ワールドカップにおいては既にその傾向が出ており、日本では東京の複数の放送局が共同で出資して放映権を取得している状況となっています。日本の放送局が放映権取得のために支払った費用は2010年の南アフリカ大会で約170億円、2014年のブラジル大会では約400億円といわれています。

放送局でスポーツイベントを視聴できなくなるということは、その競技に興味をもってもらう機会の減少をもたらしますが、これは競技人口の減少や放送ビジネスのマーケットの縮小にもつながっていきます。これを防ぐためには、スポーツイベントの主催者による適切な価格設定が必要です。